世界農業遺産とは
世界農業遺産(GIAHS)は、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた伝統的で独自性のある農林水産業と、それと密接に関わって育まれた文化、景観(ランドスケープ・シースケープ)、農業生物多様性などが相互に関連して一体となった地城のシステムで、国際連合食糧農業機関(FAO)によって認定されます。

出典:農林水産省ウェブサイト(世界農業遺産とは:農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/nousin/kantai/giahs_1_1.html)
世界農業遺産認定基準
申請地域は、世界的な重要性、申請地域の特徴(FAOが定める5つの認定基準)及び保全計画に基づき評価されます。
1. 食料及び生計の保障
地域コミュニティの食料及び生計の保障に貢献するものであること。
2. 農業生物多様性
食料及び農林水産業にとって世界(我が国)において重要な生物多様性及び遺伝資源が豊富であること。
3. 地域の伝統的な知識システム
「地域の貴重で伝統的な知識及び慣習」、「独創的な適応技術」及び「生物相、土地、水等の農林水産業を支える自然資源の管理システム」を維持していること。
4. 文化、価値観及び社会組織
地域を特徴付ける文化的アイデンティティや土地のユニークさが認められ、資源管理や食料生産に関連した社会組織、価値観及び文化的慣習が存在すること。
5. ランドスケープ及びシースケープの特徴
長年にわたる人間と自然との相互作用によって発達するとともに、安定化し、緩やかに進化してきたランドスケープやシースケープを有すること。
システムの持続性のための保全計画
申請地域は、農林水産業システムを動的に保全するための保全計画を作成すること。
出典:農林水産省ウェブサイト(世界農業遺産とは:農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/nousin/kantai/giahs_1_1.html)
有田・下津の石積み階段園みかんシステムの世界農業遺産認定
「有田・下津の石積み階段園みかんシステム」は、まず平成31年2月に下津地域の「下津蔵出しみかんシステム」が、その2年後の令和3年2月に有田地域の「みかん栽培の礎を築いた有田みかんシステム」が、日本農業遺産に認定されました。
別々に日本農業遺産に認定された両地域が一緒になって世界農業遺産の認定を目指すことになり、「有田·下津地域世界農業遺産推進協議会」が令和4年5月に設立されました。
令和5年10月に国際連合食糧農業機関(FAO)に申請し、令和7年8月26日に晴れて「有田・下津の石積み階段園みかんシステム」が世界農業遺産として認定されました。
この農業システムが世界農業遺産として評価された主な理由は、困難な地形条件を逆手に取り、優れた品質と持続可能な生産を同時に達成してきた点にあります。四世紀以上にわたって磨かれてきた農業技術と、環境と調和した営みが、国際的に重要な農業の知恵として認められた結果と言えるでしょう。